コラム

【スタートアップ用語解説】シード、アーリー、グロースの違いとは?

本日は「スタートアップ用語解説」をお届けします。


シード、アーリー、グロース

【しーど、あーりー、ぐろーす】Seed、Early、Growth


ベンチャー起業の成長段階をステージごとに区分したものを、このように表現します。
※区分は、機関ごとに異なります。

「シード→アーリー→エクスパンション→レイター」という表現をするものや、「シード→スタートアップ→アーリー→グロース→レイター」という表現、「シード→アーリー→ステージA→ステージB→ステージC」という表現まであります。

これは、VC(ベンチャーキャピタル)ごとや、投資家ごとによって表現方法は異なりますが、全体的には、同じようなフェーズのものをどう言い表すか、だけの違いです。

では、具体的にそれぞれの中身を見てみましょう。

第1段階 / シード期

いわゆる「準備」の段階がここにあたります。コンセプトやビジネスモデルはあるのだれど、具体的な製品(プロダクト)やサービスに落とし込めていないという段階です。事業計画書は作ってあるが、まだ会社という法人にしていなかったり、試作品(プロトタイプ)や見本のレベルまでに到達していないところです。そのため、資金需要はそれほどありません。けれども、人件費やマーケットの調査費用、法人設立の登記費用など、資金が必要になる場合は色々とあります。この段階は、「ビジネスが具体的に進められるのか?」、「ゴールするまでの計画は完璧なのか?」を試行錯誤して進めていく必要があります。

第2段階 / アーリー・スタートアップ期

会社設立後、立ち上げた事業が軌道に乗るまでが、この設立から5年程度の時期です。
当然のことながら、会社としては赤字です。けれども、通常の事業活動を進めていく上で、必要となる運転資金や設備投資の資金が当然として必要になります。特許権などの知的財産を活用する、研究開発型(大学発ベンチャーなど)のベンチャー企業としては、それらの取得費用も必要となります。また、他社のそのような知的財産権を使用する場合、そのライセ ンスの使用料も必要となります。さらに、プロモーションなどが必要となる場合は、販売促進費(販促費)も必要になります。
この時期、資金を提供してくれる者としては、通常、経営者自らが拠出するか、その兄弟・家族・友人などです。いわゆる「スイートマネー」といわれるものがこれにあたります。けれども、キャッシュフローがこの時期はマイナスなため、追加で出資を実施するか、融資を受ける必要があります。日本政策金融公庫など公的に近い金融機関でならば、融資に応じてくれることもありえるでしょう。しかしながら、会社の事業リスクがとても大きいため、「出資」という形での資金提供がが中心となります。また、ビジネスプラン自体が良ければ、エンジェル投資家と呼ばれる個人投資家や、ベンチャーキャピタル(VC)が出資してくれることもあります。

第3段階 / エクスパンション・ステージA期

・サービス・製品がある
・ユーザーがいる
・少人数のチームがある

事業展開を本格的に進めていく時期ですが、事業全体は赤字か低収益の場合が多いです。
そのため、優秀な人材を確保することや、商品をさらに開発することなどに資金が十分に行き渡らず、資金繰りがかなり厳しくなる時期でもあります。資金に対する需要が高いにもかかわらず、社歴も浅く、利益水準もかなり低いため、銀行などの金融機関からの信頼はあまりありません。そのため、融資がかなり難しい時期でもあります。こうした時期は、日本政策金融公庫などの政府系の金融機関からの融資を実施してもらうか、国や地方公共団体が実施している補助金や助成金を得ることが大切でしょう。しかし、億規模の資金調達が必要になる場合は、やはり株式に対する出資となります。
このようなニーズに、出資で応じるのが、いわゆるベンチャーキャピタル(VC)です。けれども、段階がアーリーの場合では、なかなか応じてくれないという現状もあります。ベンチャーキャピタル(VC)の種類によっては、このようなアーリー企業に対して、積極的に投資をするところもありますが、現状としてはあまり数が多くありません。当然ですが、このベンチャーキャピタル(VC)は株式上場(IPO)が前提になります。そのような株式上場(IPO)をする意思がなければ、 ベンチャーキャピタル(VC)からの出資は難しいでしょう。また、大手企業との資本提携・事業提携を実施し、株式の一部に対して出資をしてもらうという方法もあり得ます。

第4段階 / グロース・ステージB期

・サービス・製品にユーザーがある程度いる
・収益モデルの仮説が検証され始めている
・そこそこの人数のチームがある

売上げがメキメキと成長し、事業が軌道に乗り始める時期です。単年度損益も黒字となり、損益分岐点を超えます。
その一方で、さらに売上高を上げ、事業を回していくため、採用増に伴う運転資金の増加や、オフィスフロアの拡充や会社の仕組み化をしていくための設備投資が必要となります。そのため、資金需要としてはとても高くなります。この段階でも、場合によりキャッシュフローは赤字なことがあります。けれども、日本政策金融公庫など以外の、民間銀行などの金融機関からは、前段階より、比較的融資を受けやすくなっています。資本政策としては、このような融資と出資とを組み合わせて、資金需要に応えるところが多いでしょう。少人数私募債やストックオプションなどを活用する場合もあります。
主たる出資の引受先は、ベンチャー・キャピタル(VC)です。この段階になると、ベンチャー・キャピタル(VC)も比較的出資しやすくなっている段階です。けれども、創業者の持ち株比率の低下や、決議権ベースでの希薄化などの影響を考えておく必要があります。このような場合、議決権制限株式など種類株式を発行するという場合もあります。ベンチャー・キャピタル(VC)からこのような資金を入れた企業は、株式上場(IPO)を強く意識しての資本政策を進めていく必要があります。近年では、東京証券取引所マザーズに、ある意味チャレンジ枠として、この段階で株式上場(IPO)をする企業もあります。

第5段階 / レイター・ステージC期

・勝利の方程式が見えてきた
・組織が確立してきている

この段階になるとキャッシュフローも黒字になり、累積損失も解消されています。
また、銀行など金融機関の融資条件も、これまでのステージと比較して、かなり有利な条件になっています。非公開会社の選択をしている企業では、これら金融機関からの融資が、資金調達のメインの方法になります。さらに、銀行などの金融機関か ら、通常に借り入れをする方法の他に、「シンジケートローン」と呼ばれる、アレンジャーとして特定の金融機関を指定し、複数の金融機関より資金調達を全てまとめて実施する方法や 「ストラクチャードファイナンス」と呼ばれる不動産や債権を流動化する方法などが行われることもあります。
出資の面では、この段階でコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)やベンチャー・キャピタル(VC)の出資を受ける場合もあります。しかし、一般的には第三者割当増資を重要取引先や取引のある金融機関に対して行うこともあります。株式上場(IPO)を前提とした、株主を安定化させるために行う場合が多いと思います。また、この段階で株式上場(IPO)を行うこともあります。